大会

第6回 日本杜甫学会大会を実施します
会 場:京都女子大学(J校舎 J003多目的ホール) zoomを用いたオンラインとの併用
日 程: 9月 10日 ( 土 ) 14時開始(受付開始は13時40分、13時50分に開会の挨拶)
※なお、準備の都合上、大会への参加方式(対面・オンライン)を以下のフォームから8月29日までにお知らせください https://forms.office.com/r/AE5MMsRfZM
※非会員の方のご来聴も歓迎しております。ただし、運営の都合上、日本杜甫学会ウェブサイトの大会のお知らせを確認の上、上記の「申込フォーム」から事前登録をして下さい。事前登録された方のみ、zoom情報をお伝えします。(なお、会員にはすでにお知らせしております)
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13 時 40 分~      受付開始
13 時 50 分~      開会の挨拶

研究発表の部(14:00~14:40)
題 目:「行雲流水」と杜詩
発表者:鳴海 雅哉(函館工業高等専門学校)

※14時40分~14時50分 休憩
シンポジウムの部(14:50~16:50)


【研究発表】
「行雲流水」と杜詩                  鳴海 雅哉(函館工業高等専門学校)
明の胡震亨(1596-1645)『唐音癸籤』巻11に、次のような指摘がある。
 韋荘詩の「静極まりて却って流水の鬧(さわ)がしきを嫌い、閑多くして翻りて野雲の忙(せわ)しきを笑う」は、老杜の「水流れ心競わず、雲在り意俱に遅し」に本づくも、但だ多く一嫌字・笑字を着くのみにして、真閑・真静に非ざるを覚ゆるのみ。
 ここにいう「韋荘詩」とは晩唐の詩人、韋荘の「山墅閑題」(『全唐詩』巻697)を指し、「老杜」詩は杜甫の「江亭」0450(『杜甫全詩訳注』講談社学術文庫、2016の作品番号)を指す。杜詩の該当句を、佐竹保子氏(『杜甫全詩訳注』)は、「水の流れるにまかせてこれと競う心はなく、浮かぶ雲とともに気持ちは緩やかだ。」と和訳する。
 これらの詩からは、「行雲流水」という成語が想起されよう。この成語は、北宋の蘇軾(1036-1101)「謝民師推官に与うるの書」の「示す所の書教及詩賦雑文、之を観るに熟せり。大略行雲流水の如く、初め定質無し、但だ常に当に行くべき所に行き、常に止まらざるべからざるに止まる。」に基づく(『漢語大詞典』)。向島成美『唐宋八家文読本6』(明治書院新釈漢文大系、2016)は、この語について次のように言う。
 王水照は、田錫の「貽宋小著書(宋小著に貽るの書)」(『咸平集』巻2)に浮雲と流水を文論に用いた例があり、蘇軾がこの田錫の文集序を書いていることから(「田表聖奏議序」『蘇軾文集』巻10所収)、表現の影響関係を示唆している。
 このように、この成語の出典は蘇軾を嚆矢とすると見なすことができるだろうが、成語に込められた意味合いについては、杜詩をその淵源としていると認められそうである。
そこで、本発表では、主に杜甫以前の「行雲」と「流水」とが併記されている詩と杜詩のそれとを検討し、「行雲」と「流水」を描く杜詩が、蘇軾をはじめとする後代の作品に与えた影響について私見をまとめてみたい。


【シンポジウム】
「安史の乱は杜甫に何をもたらしたのか」    
パネリスト:好川聡 (岐阜大学)「自京赴奉先県詠懐五百字」以降の杜甫詩の展開について
遠藤星希(法政大学)杜甫の詩における「山河」の在り方とその変質について
――安史の乱の前後を中心に――
高芝 麻子(横浜国立大学)杜甫の月が照らすもの
司会:大橋 賢一(北海道教育大学旭川校)
 唐代文学史上において、盛唐と中唐の画期をなす歴史的事件が安史の乱であることは、論をまたないであろう。ただ、文学史の中で言及される安史の乱は、おおむね社会の構造(制度や階層)を変化、変質させたきっかけとして位置づけられており、乱そのものが文学史に及ぼした作用については、これまであまり論じられてこなかったように思われる。
一方、安史の乱という社会の衝撃が、個々の詩人の詩作に与えた影響については、すでに研究が行われており、成果が挙げられている。もし詩人ひとりひとりの詩作に影響を与えているとすれば、乱そのものが文学の大きな流れに作用を及ぼしているという見方もできるはずである。
マクロな視点で文学史の総体をとらえ直し、再構築するためには、上述した問題意識のもとで、詩人たちが残した個々のテクストを分析し、その成果を積み上げていく地道な作業がやはり必要不可欠である。そこで今回は、盛唐以後の文学を切り開いたとされる杜甫にまず照準を定めることとしたい。
杜甫の詩作活動は、三期ないし四期に分けてとらえられることが多いが、どちらの場合も、第一期と第二期の境目に安史の乱を置くことは一致している。すなわち、安史の乱をきっかけとして杜甫の詩風に変化が生じたということは、理解が共有されているのであるが、その変化の具体的な内容はといえば、戦乱を目の当たりにしたことを契機として、社会の現実と人民の苦悩に詩人が目を向けるようになり、独自の「社会詩」を生み出した、という文脈で論じられることが多い。むろん、この「社会詩」という視点が重要であることはいうまでもないが、より多角的な視点で、杜甫の詩と安史の乱の関係をとらえ直す必要があるのではないか。
本シンポジウムでは、安史の乱が杜甫によってどのようにとらえられていたのか、あるいは、安史の乱が杜甫の詩にどのような質的変化をもたらしたのかという点について、三人の登壇者がそれぞれ異なる視点から考察し、報告を行う。参加者との意見交換を介して、盛唐詩から中唐詩への変化に対し、安史の乱がどのように作用したのかを考える糸口としたい。
第5回 日本杜甫学会大会
2021年9月4日(土)14時より、オンライン(zoom)にて第5回大会を実施しました。

研究発表の部(14:30~16:00)
題 目:杜甫韻字ユニットの継承とその影響について
発表者:水谷 誠(創価大学)


題 目:杜甫詩における閨情表現
発表者:下定 雅弘(岡山大学)



講演の部(16:10~17:10)
題 目:《秋日夔府詠懷奉寄鄭監李賓客一百韻》―兼論其創作過程與寫作特點―
発表者:呉 懐東(安徽大学)
 
第4回 日本杜甫学会大会
本年、九月に予定されていた第四回大会は、新型コロナウィルスの流行とそれに伴って生じている社会的情勢を鑑み、中止と致します。
総会については、どのような方法で開催することができるか、理事会・評議員会で議論しております。それにつきましては決定次第、本ホームページでご案内致します。
第3回 日本杜甫学会大会
第3回日本杜甫学会大会が、9月7日(土)に、
神戸研究学園都市 大学共同利用施設UNITYにて行われました。

題 目:杜甫と高適の制挙受験について
発表者:田中 京(立命館大学(院))


題 目:杜甫“大庇”思想對東亞建築民俗文化的巨大影響——以緝考韓國“上樑文”文獻為中心
発表者:沈 文凡(吉林大学)

題 目:杜甫と門閥意識
発表者:松原 朗(専修大学)
 
お願いとお知らせ
※学会出張等に必要な書類がございましたら、紺野までお知らせ下さい。
※本会は、皆様からの会費の成り立っております。
未納の方は郵便局備え付けの振込用紙に金額をご記入の上、お振り込み下さいますようお願いいたします。
なお、納付状況・会員区分等についてご不明の方も紺野までお問合せください。

【振込先】  口座番号00990-6-33085       口座名称 日本杜甫学会
第二回 日本杜甫学会大会
2018年10月5日(金)早稲田大学9号館第一会議室にて、
日本杜甫学会 第二回大会が行われた。
「薛濤と杜甫 ― 時を異にして成都の浣花渓に居住した二人の詩から ―」
発表者:横田 むつみ(お茶の水女子大(院))
司 会:松原 朗(専修大)
 
清・顧宸『辟疆園杜詩註解』について
発表者:大橋 賢一(北海道教育大旭川校)
司 会:甲斐 雄一(明治大)

 
シンポジウム  再読『李白と杜甫』
パネリスト:張 思茗(復旦大)
      下定 雅弘(岡山大)
※登壇予定であった査屏球教授(復旦大)と 呉懐東教授(安徽大)は、都合により欠席。
 査教授の推薦で、張思茗氏が登壇した。
 下定会長は「杜甫的“獨善”―兼論其對仙境、仙道的憧憬― 」という観点から、
 張思茗氏は「阆州隶属之变与杜甫阆州之行」という観点から発言した。

《日本杜甫学会 事務局》
〒259‐1292 神奈川県平塚市北金目4の1の1
東海大学国際教育センター 佐藤浩一研究室